本展では金沢で硝子を素材に制作する辻和美の新作展を開催致します。前回
の2008年、ギャラリーやまほんでの展覧会では、透明ガラスのボトルを中心
とし、展示致しましたが、今回はそれとは真逆のカラフルなグラスが会場を
埋め尽くします。これまでの辻さんは日常的に使える硝子の器の作品とイン
スタレーションなどの作品を全く違う角度で制作を続けて来られた様に感じ
ましたが、今回の作品を見て双方の活動が交わっていることを強く感じまし
た。その作品群は現在の辻和美さんの素直な表現だとも感じます。是非、展
覧会の会場でその作品をそれぞれが一人一人、感じて頂ければ幸いです。
また定番のめんちょこ、みにちょこ、ロックグラスなどの作品や新作の器も
多数ご覧頂けます。
頭の中のこと
アート、美術、工芸、クラフト、などという既存の概念に随分長い間
支配されてきたように思う。使うモノだから工芸? 鑑賞用だから美術?
自分を表現するというが、表現できるような自分はどこにもいない。
随分長いトンネルの中を歩いて来て、いつからだろう、
「自分はいったい何がやりたいんだろう?」から
「自分にはいったい何ができるんだろう?」と考えるようになったのは?
そしてこの小さなコップひとつでも、だれかの幸せの役に立てていると
思えた日、呼び名はもうどうでもよくなった。
今回は、ギャラリーやまほんではじめて、「color」という作品を
展示することになりました。
ここにある50色近くの色ガラスのコップは、ガラスの色サンプルです。
作家の眼によって選ばれた色ではありません。
ここで好きな色を選んで持ち帰るのは、あなたです。
騒ぎながら選んでください。こっそり選んでください。悩んでください。
楽しんでください。
そして色は、他の色があるからこそ、
その存在に意味があることに気付き、
うれしくなりました。人間もそうだなって。
辻 和美
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