山本「なるほど。だいたいどれくらいのペースで行かれているんでしょうか?」

森岡「それほど頻繁ではないですよ、外国だと数年に1度とかそれくらいです。沖縄には年に1、2度は必ず行っていますけどね。だいたい1週間ほど滞在して、土を持って帰ってくることも多いです。」

山本「土はご自分で掘られることが多いのでしょうか?」

森岡「そうですね。土を掘るところから、薪を割るところから自分でしたいというのがありますから。作陶のスタイルはそれぞれだろうけど、僕は全部自分でしたいんですよ。ろくろをひいて、焼成を人に任せる人もいるけど、僕は性格的にそういうことができない。特に南蛮は焼きが大事だという思いがあるから。」

山本「森岡さんの工房には3基の窯がありますが、全部が薪窯ですよね。焼〆の場合、窯焚きのときはいつもどれくらいの時間、焼成されるですか?」

森岡「10日間ですね。土はこの辺りのものや種子島のもの、沖縄のものなんかを使うんだけど、耐火度が低いから、低温で長く焼いてしっかり焼〆てます。」

山本「10日目は、かなり長いほうですね。窯場にあった薪の量に驚きましたが、なるほど。」

森岡「でも、焼〆は本来そうあるべきだと思いますよ。最近は軽めに焼いて赤みの強い、火色のはっきりしたものを作る人も多いけど、個人的にはああいうのはぺらっとした感じでだめだね。しっかり焼〆ることで、色に深みが出るし硬く焼きしまるから使ったときの具合もいい。最近は、ギャラリーの人も焼〆の作品を売るときに「汚れるから使う前に水にひたせ」っていうでしょ。だから焼〆のものって扱いが面倒だという印象がついてしまって、一般家庭では使いにくいというイメージがついてしまったように思います。だけど、きちんと焼いていればそんなことしなくても汚れないんですよ。「焼き物屋」を名乗るからには、そこの仕事はきっちりしたいと思います。」

2012.12.17











 

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